宇多田ヒカルのcmソング「Stay Gold」。アジアンビューティのチョン・ジヒョンが、すれ違いの末別れた恋人を追いかけていく、その美しく長い髪の輝きに合わせるように、宇多田ヒカルの声が静かに響きます。花王アジエンスのcmのために作られたというこの楽曲は、シングル発売日前より「アジエンス」のcmで流れており、ゆったりとした曲調とともに「大好きだからずっとなんにも心配いらないわ」という、優しく、そして温かい視線を送る女性を描いた詞が印象に残った、という視聴者も多かったことでしょう。アジエンスのカラー「ゴールド」も曲名に入れ込まれており、アジアンビューティの美しさと輝きを見事に唄っています。
宇多田ヒカルのcmソングというのは、他にもさまざまな方面で使用されています。車のcmでは、トヨタWISHのcm曲「COLORS」や、日産テラノのcm曲「Movin'on without you」があります。楽曲の盛り上がり部分にあたる宇多田の高音ボイスが、疾走感を観る側に与え、その乾いた声は、コーズウェイブリッジ、モナコ、スペインのひまわり畑など、長い道のりを高速で走り抜ける映像にぴったりと合っています。宇多田ヒカルはcmソングとしては、他にも日清食品のカップヌードルのcmで、大友克洋のアニメをバックに「This Ts Love」に使われていたのが記憶に新しいでしょう。宇多田の独特な声は、SFというジャンルにもぴったりとマッチしており、不思議な空間を作り出しています。
KDDI「LISMO!」のcmソング、「Keep Tryin'」は、着うた音楽配信でヒットしました。ビデオ・クリップでは、ウエイトレスに扮し、カラフルな映像のなかコミカルともいえる演技をしていますが、cmではKDDIのキャラクターが宇多田ヒカルのcmソングを聴いている、というシンプルな作りになっています。
一方、ニンテンドーDSのcmでは、宇多田ヒカルのcmソングという部分以外にも、宇多田ヒカルのあっけらかんとした、いまどきの若者らしいキャラクターを生かして、宇多田自身の出演ということで注目を集めました。楽曲は「Easy Breezy」。これは、宇多田ヒカルが「Utada」として全米デビューするという記念すべきアルバムの一曲です。歌詞は全て英語となっており、新しい「Utada」としての活動を始めたということで、当時、エンタテイメント誌のcm好感度ランキングで上位になったこともある、印象的なcmソングです。
宇多田ヒカルのcmソング以外の楽曲で異色なのは、「ぼくはくま」。童謡、というジャンルに挑戦したこの一曲は、宇多田自身もかなりお気に入りのようです。童謡という新しい世界で得た優しいまなざしと、二十代の大人の魅力を加え、さまざまな可能性を追求する宇多田ヒカルはcmソングというジャンルで、これからもたくさんのcmを輝かせてくれそうです。15歳の若さで衝撃デビューした宇多田ヒカルが、今、アジエンスのという大人の女性をターゲットにしたcm曲を手がけたということで、今後さらにcmソングとしての幅も広がっていくことでしょう。